花火


今夜の星空は美しかった。
そして満月が見える。
太陽が照りつける、暑い日中とはうってかわって涼しい夏の晩のこと。

私は双児宮の階段に腰掛け、夜空を見上げていた。
一日の仕事を終え、こうしてのんびりと月を眺めるのも久々のことだ。

カノンは外出していて、今夜は帰って来ない。
何となく時間を持て余していた頃、が大きな袋を持ってやって来た。

「あ!よかった。仕事終わってたんだね〜。ねぇ、サガ、花火しよ!」

相変わらず唐突だな、と思いながら、私はに訊ねた。

、花火・・・とは何だ?」
「えっとね〜、日本では、夏のイベントの1つだよ!ほら見て見て♪浴衣vv」

『花火』は知らないが、『浴衣』ぐらいは知っている。

の浴衣は紺地に花(アサガオというらしい)があしらわれており、赤の帯がよく映えていた。
シンプルだがとても可愛らしく、彼女によく似合っている。
髪もアップにして、少し大人びて見える。

「なかなか似合うな。可愛いぞ。」
「そう?似合う?サガに褒めてもらえて、ウレシイ〜vv」

えへへ、と笑いながらは袋から、花火とやらを取り出した。

「これにね、火を点けるの〜。」

シュゥゥ〜。
音を立てて、花火は七色に光る。
初めて目にする花火の輝きに、私は嬉しくなった。

「ね!ね!綺麗でしょ?!」
「ああ。これは楽しいな。そっちのは何だ?」

まるで童心に返ったかの様に、私は楽しんでいた。

打ち上げ花火、ドラゴン、ロケット花火、線香花火…。
様々な花火を楽しんだ頃、ふと直径3cmほどの渦巻状の物体が目に付いた。

「これはね〜、ネズミ花火っていうの!」

そう言ってはその花火に点火し、放った。


…が。

「うひゃっ!しまった!おぉぉぉっ!」
「なっ…んだこれは?」

シュルシュルシュル〜という音とともに、の足元でネズミ花火が激しくはじける。
彼女はどうやら、花火を放る位置をあやまったらしい。

「え〜ん。サガぁ〜!」

は半ベソをかきながら、ネズミ花火から逃げている。
そのうち花火の勢いは衰えたが、は必死で私にしがみついていた。
その様子が可愛らしくも可笑しくて、の頭をなでながら、つい吹き出してしまった。

「…笑うな。」

上目遣いにじろっとが見る。

、自分で放った花火にやられていては、世話ないな。」
「ぷぅ〜。何よぅ。サガのばかぁ。」

くるりと私に背を向け、はふてくされてしまった。
の綺麗なうなじが見えた。
ほのかな色気を感じ、そっと近づいて、そのうなじに口付けをする。

…。笑って悪かった。機嫌を直してくれ…。」

の耳元で甘く囁き、彼女の華奢な体を抱き寄せる。

「どうすれば姫のご機嫌は直るかな?」

そっぽを向いていたを私の方へ向き直らせた。
月明かりの中でも、彼女の顔が真っ赤になっているのがわかる。

「…怒ってなんかないよ。は、恥ずかしいんだってば…///」

私の胸に顔をうずめ、は恥らう。
そんな彼女が愛しくて、うつむく彼女の顎を優しく上に向かせた。

「愛してるよ、…。」
「私も…。愛してるよ、サガvv」


満天の星空の下、二つの影が重なり、一つになった。



-END-


…萌えてよござんす?

当サイトにお越しくださってるあきのかづき様より頂きました〜!
あきの様が夢小説を書きたくなったとおっしゃったので、
「サガでお願いします」と申したところ、こんな素敵なサガ夢を送ってきてくださいました〜vv

サガと花火。(しかも二人っきり)

抱き寄せて「姫」。

私、どうしたらいいんでしょう…。(どうにでもしなさい)
もう読みながら照れまくってしまいましたよ!
やっぱり私も純情な乙女の一人なんですね!!

あきのかづき様、本当にありがとうございました!