君は私のことをいつも綺麗だって言うんだね。
でもそれ以上に君は美しい。
この美しい私が愛でているのだから。
それなのに、君は自分のことには無頓着で。
もう、はがゆいったらありゃしない。
「、ちょっと待て」
「ん、なにー??」
振り返っていつもの笑顔で見てくる君は愛らしい。
まるで大輪の花が咲き誇るようだ。
しかし。
「君はまさかその格好で市街に出るというのか?」
「ん、そうだけど。何か変?」
は半そでのパーカーに引きずるようなジーンズ。
その格好はまだ許そう。
私も君の服の趣味にまで口を出そうとは思わない。
しかし、何だ。
「化粧もしないで出かけるつもりか!!」
「は??」
「君は自分の綺麗な肌をみすみす紫外線に晒すというのかぁぁぁっ!!」
君の美しさを愛でている私の前で!!
できることなら永遠にその美しさを見ていたいと思っている私の前で!!
「もう、だってめんどくさいんだもん。日焼け止めぬってるし大丈夫でしょ?」
「ぬるい!君はここの紫外線のきつさを知らんのだ!!」
「何もそんなに力説しなくても・・・」
「!君のことを心配しているんだぞ!」
「あ〜、はいはい。ちょっと待ってて」
めんどくさそうにバックの中を漁りだす。
ポーチを持ってきているのならすればいいものを・・・。
あぁ、でもわかってくれ。
こんなに私が口うるさく言うのも君を愛してこそなのだ。
「部屋ちょっと借りてもいい?」
「あぁ、どうぞ」
ソファをどっかりと占領して下地、ファンデーションを軽くぬって。
「よし完璧!」
「口紅はしないのか?」
「ん?した方がいい?」
「そうだな・・・。ちょっと貸してみろ」
の手からポーチを取り上げると中をのぞく。
乱雑に放り込まれたアイブローやマスカラに混じってリップと思しきものが2〜3本。
の洋服に合わせながら一つをつまみ出す。
「なになに?何色〜??」
「まだ秘密だ。目を閉じて」
素直に目を閉じたの唇に色を滑らせていく。
健康的な薄紅色の唇がどんどん染まっていって。
「もう、目をあけていいぞ」
「ん」
鏡を前にしばらくじっとしていて。
「ピンクって珍しいよね〜。あたし、あんまりつけないもん」
「でも、君にはその色が一番似合う」
「そう?・・・へへ、ありがとうvv」
そう言って笑う君があまりにも愛らしいものだから。
「ひゃ・・・」
顔を離すと君は照れたように笑って。
「口紅、ついちゃうよ?」
「別に構わんさ」
そっと優しくついばんで。
そしてもう一度。
君の唇に大輪の愛の花を。
<THE END>