「お前はどうして私を呼び出すのだ」

男がそう言った。
隣りに座っていた女はくすりと笑って。

「だって私が会いたいのは貴方なのだもの」

そう答えた。

「影であるこの私だと?」
「そうよ。影である貴方なのよ」

言っても言い返す女に男は喉を鳴らして笑う。

「ふん。光でしかないお前に影である私が愛せるものか」
「あら、愛せるわ。むしろ影だから愛せるの」

彼女は得意気にそう言うと、男の黒い髪をすく。

「光は影と相反するものだ」
「そうね。その通りだわ」
「もう白旗を振るのか?」
「あら、違うわ。影と影なら引き合うってことよ」

その言葉に男が言葉を紡ごうとしたその時。

「貴方こそ」

女が表情も変えずに口を動かし。

「私があの子の影だって気付いてた?」

夜の闇に映える月明かりの中でそっと笑った。
+++一言++++++++++
光があるところには必ず影がある。
光は光と、影は影と。
でも光と影も引き合うんだよなー。魔方陣グ●グルなら。
(03/09/04 作成)