10：廃墟

聖域に迷い込んだ観光客が雑兵に捕まった。

「何をするんです！警察に言いますよ！」
「何を言っている！ここはアテナの治める聖域だぞ！」

両者は互いに譲ることなく、騒ぎを聞きつけた黄金聖闘士が出張ることとなった。

「ちょっと聞いてくださいよ！この人が変なことを言うんです」
「いったい何と言ったのでしょう？」
「いきなり人を捕まえてここは聖域だと言うんです」
「その通り。ここはアテナの治める聖域です」

彼はそう答えると何が不思議なのだ、といわんばかりの顔をした。
しかしその答えを聞いた観光客は目を丸くして。

「何をおっしゃってるんです？」

この男も頭がおかしいのか、と目で言いながら。

「こんな廃墟の塊が聖域なわけないでしょう」

そう言って彼の言う廃墟―十二の宮殿がそびえる山を指差した。